【FP解説】3つのお金の色分け、見落としがちな貯蓄の秘訣
そもそも「3つのお金の色分け」とは
3つのお金の色分けとは、毎月の収入や預貯金などの資産を「すぐに使うお金」、「いざという時のために備えておくお金」、「当面使わないお金」の3つに分けることを指します。一つずつ詳しく見ていきましょう。
1. すぐに使うお金
「すぐ使うお金」とは、日常生活にかかる必要な費用のために準備しておくお金のことです。具体的には、水道光熱費、食費、家賃や住宅ローン、スマートフォン料金などの通信費、保険料、等々が該当します。毎月の「すぐに使うお金」をしっかり把握することが基本中の基本になります。
2. いざという時のために備えておくお金
「いざという時のために備えておくお金」とは、ご自身やご家族の病気、怪我、失業、自宅や自動車の破損など、不測の事態が生じてしまった際に慌てないように準備しておくお金のことです。一般には、「すぐに使うお金」の3〜6ヵ月分を目安とすると良いでしょう。
3. 当面使わないお金
「当面使わないお金」とは、その名のとおり中長期にわたって使う予定がないお金のことです。一般に「余裕資金」といわれるのもこれに当たります。先にあげた「すぐに使うお金」や「いざという時のために備えておくお金」を差し引いても残るお金といえます。このお金は投資や資産形成、資産運用に回す時間的な余裕がありますから、うまく利益を得ることができれば、老後資金などの大きな出費に対する備えとなるでしょう。
「3つのお金の色分け」が必要な理由とメリット
「3つのお金の色分け」は、お金に関する悩みを未然に防ぐための重要な予防策になります。かつて、経済学の父と呼ばれるアダム・スミスは、「幸福(心の平静)を得るためには、健康で、負債がなく、心にやましいところがあってはならない。」と、主著の一つ『道徳感情論』で述べています。これを踏まえても、負債(借金)があるなどのお金に関する悩みを未然に防ぐことはとても重要です。
また、「3つのお金の色分け」は以下の3点のメリットをもたらします。
1. 収支や資産負債の把握と無駄遣いの防止
「3つのお金の色分け」は、収入と支出、資産と負債の全体を把握することに役立ちます。これにより全体像が見えているが故に、自然と無駄遣いをする習慣を減らし、無くしていくことにつながります。
2. 緊急時に金銭面で慌てず対処
人生には予期せぬ出来事が付きものです。もちろん、ポジティブなことも多々ありますが、場合によっては突然の病気や怪我などネガティブなことに見舞われることも少なくありません。そのような時に可能な限り平静を保つためにも、とくに「いざという時のために備えておくお金」を準備しておくことは役立つでしょう。
3. 長期的な資産形成
「ローマは一日にしてならず」です。コツコツと貯蓄をしていくには長い年月がかかります。また、リスク資産(株式や債券、投資信託など)への投資による資産形成にしても、「長期・分散・積立」が基本です。老後資金などの大きな出費に備えるためにも、「当面使わないお金」を把握し、長い目で資産形成をしていくことは非常に役立ちます。
貯蓄したくてもできない人はまず考え方の転換から
ここまで「3つのお金の色分け」について説明してきました。ただ、「言っていることはわかるけど、そこまでしっかりはできない・・・」という方もいらっしゃるかもしれません。
そんな方へのおすすめとして、まずは「収入-支出=貯蓄」というコツコツと節約をすることにつながりがちな考え方から、「収入-貯蓄=支出」といったように収入額から貯蓄額を無理のない範囲で先に決めてしまって、残ったお金を支出額とする考え方に転換してみてはどうでしょうか。
お金と向き合うことは一生ものの長いつき合いです。無理に頑張って途中で投げ出してしまうよりも、少しずつでも日々改善していくほうが建設的といえます。無理なく地道にコツコツと取り組んでいきましょう!