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【FP解説】貯めると増やす~物価と金利の関係~

お金の専門家であるFP(ファイナンシャルプランナー)が貯蓄や節約、金融経済についてお伝えするシリーズ第2回目です。執筆はCFP®認定者・1級FP技能士の鈴木が担当します。本稿では、物価と金利の関係性に着目しつつ、お金を貯める、増やすことについて考えていきます。

目次

物価とは

そもそも「物価」とは、世の中(あるいは国・地域)のモノやサービスの価格を総合的に表したものを指します。ここで重要なポイントとなるのは、たとえば「最近、野菜の値段が上がった」などの個別のモノやサービスではなく、総合的に見ているということです。

物価は原則として需給、つまり需要と供給によって決まります。需要とはモノやサービスに対する購入したいという欲求の総量、供給とはモノやサービスをどのくらい提供できるかの総量をいいます。

需要と供給の相対的なバランスによって物価は上下動します。具体的には、需要が増えて供給が需要に追いつかない場合に物価は上昇、逆に供給が増えて需要が供給に追いつかない場合に物価は下落します。

物価と金利の関係性

実は物価と金利には密接な関係があります。一般に、物価上昇の局面では、需要が供給を上回る状態にあるため、好景気となって極端にいえばお金を借りてでも消費や投資を行う傾向となるため、金利は上がりやすくなります。逆に、物価下落の局面では、供給が需要を下回る状態にあるため、不景気となって消費や投資を抑える傾向にあるため、金利は下がりやすくなります。

日本では、1990年代以降、長らくの不景気によって物価下落と低金利に悩まされてきた歴史があります。それが、最近になってようやく物価上昇とともに金利が上がる可能性が出てきました。これは景気回復の兆しでもあり、総じて望ましい動きではあるものの、物価の上下と金利の上下には時間差が生じやすい、つまり、物価の上下の傾向がはっきりしてから金利が遅れて上下しやすいため、家計にとっては無策でいると相応のダメージを負うおそれがあります。このような日本経済において歴史的な転換点にいる可能性がある現在、私たちはどのような点を意識して行動する必要があるでしょうか。

「貯める」と「増やす」をワンセットにした意識づけ

仮に政府や日銀が政策目標として置いている前年比2%で物価が上昇し続けた場合、具体的にいえば、現在100万円で購入できているモノやサービスが、1年後に102万円、2年後に約104万円、3年後に約106万円、・・・と、どんどん値上がりしていくことを意味します。ちなみに足元の日本では前年比2%を超える物価上昇が起こっています。このような物価上昇が常態化すると、私たちにとって単に「貯める」という軸だけでお金を捉えていては、家計を圧迫し続けることになります。

そこで、一つ提案したいのは、「貯める」という軸に「増やす」という軸を加え、この2軸をワンセットに意識づけることです。具体的にはお金の置き所を年率2%以上となるように工夫する、たとえば許容範囲のリスクを取って、非課税措置のある新NISAなどを使って、相対的に物価上昇局面に強い資産とされる株式や不動産、これらを組み込んだ投資信託で投資を検討してみるのも一つの手といえるでしょう。また、プリペイドカードやクレジットカードなどキャッシュレスにおいても、貯蓄や決済にあたってのポイント還元を意識するのも有効な手段です。

もちろん、転職や副業などで収入・所得を増やすなども、可能であればそれに越したことはありません。ただ、まずはどなたでも取り組むことができることから、千里の道も一歩からで「貯める」と「増やす」を意識し行動していくことをおすすめします。地道にコツコツと楽しみながら実践していきましょう!

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